設立趣旨書
医学は、進歩するにつけて不明な点や治癒不可能な難病が増加するように思える。一見、疾病と治療の追いかけっこのようにも見える。しかし、医学は確実に進歩し人体の不思議が解明されつつある。耐性菌の問題は新たな人類への課題であろうが、人類を永年苦しめた天然痘や結核は一応克服したと言って良いであろう。医学が進歩し、発症の原因が分れば一応治療方法は開発されてくる又は治療方法が見つけやすい時代になってきている。
医学は、ますます専門化して医師も専門外はただの素人にならざるを得なくなってきている。しかし、不定愁訴等の原因不明の主訴も決して少なくないが、専門科の医師たちは目の前の患者の診断ができないでいる。医学の高度な専門化はますます、進み原因不明の主訴に適切な診断を下せないでいるのが臨床現場であろう。私たちは、専門の医科で診断のなし得ない患者の診断をするために、検査手法、主訴の内容等を医療面接により対応し正しい診断を導き出す手法を研究したいと考えている。「総合医科学」はスペシャリスト(専科)ではなくゼネラリスト(総合科)として対応し、諦めることなく弛まぬ研究と医療面接手法等の開発により原因不明な疾病の発見手法、治療方法も含めて研究し我が国の医療福祉に貢献したいと考えている。日本臨床総合医科学会の活動が、不安で悩める患者の一人でも少なくなることに貢献できればこの上ない喜びである。ここに、私たちは、日本臨床総合医科学会を設立するものである。
令和2年6月1日
日本臨床総合医科学会発起人会一同